農地整備課のSです。
11月8日(月)、棚田百選の福島棚田で飯山市と福島棚田振興協議会による福島棚田石垣修繕講習会(11月8日~12日開催)があるとお聞きしていたので、参加してきました。
松本城の石垣修復なども手掛ける、松本市の㈱山口石材の職人さんを講師に迎え、構造や石積み技術を解説していただきつつ、簡単な作業には実際に参加して修復を行いました。
石垣修繕の概要(構造)を学ぶことで、修復の要否や危険予測に役立てられるそうです。
棚田を形成する法面には、大きく分けて盛土を固めた土羽(どは。土坡とも表記)と、石積みの2種類がありますが、福島棚田は県内では数少ない石積みの棚田です。
崩れる前の姿に積みなおすため、石垣表面の一つ一つにガムテープを平行に貼って番号を振り、写真に記録します。
石垣を外し、クレーン車で空き地に運びます。
石垣を外していくと、石垣と土との間に「ぐり石(栗石)」という小石が詰められていました。
このぐり石は、大雨が降って土(田んぼ)に水が浸透すると、水を含んだ土が膨張し、圧力で手前の石垣を押し出してしまうので、水はけをよくするための役割を担っています。このぐり石ももちろん修復に再利用します。
石垣の上部にガムテープに書いた数字を墨汁と筆で転記します。
バーナーで焼いていきます。こうすることで雨で濡れた程度では字が消えなくなるそうです。(ガムテープが剥がれても心配ありません)
書く前に石にしっかりブラシをかけて土をはらっておかないと、字がにじんでしまいます。数十年後に石積みを積みなおす際に、この数字が残っているかも知れないと思うと、できるだけきれいな字で書くよう気をつけました。
参加はここまででしたが、飯山市から12日に完成した石積みの写真をいただきました!
棚田の保全を行う福島棚田振興協議会の方にお話しを伺ったところ、石積みの棚田は草刈りをはじめとする維持が大変とのことでした。石の間に雑草が生えたらそれを引き抜くだけでも石垣を崩してしまいそうです。
石垣修復ができる職人が少なくなる中、コンクリートにしてしまうこともできますが、やはり歴史ある美しい石垣の景観を守りたいとの思いで、修繕講習会に参加される協議会の方の姿が印象的でした。
ここからは余談ですが…
福島棚田には階段があると聞き、探してみると…なんと、踏み板(石)だけの階段でした!
ゴールデンウィークに開催される「いいやま菜の花まつり」には多くの観光客が訪れるそうです。このままコロナの落ち着いた状況が続けば、田植え時期の棚田とあわせて、石垣も注目して見ていただけたらと思います。