青鬼の棚田 | 信州棚田ネットワーク | 白馬村

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青鬼の棚田 白馬村

青鬼の棚田の概要

棚田面積   約4.7ha
棚田枚数   約100枚
平均勾配   約1/15
水源     河川
法面構造   石積み
開発起源   江戸時代

 

地域の概要

白馬岳をはじめとする北アルプス後立山連峰を有するリゾート地、白馬村。
棚田のある青鬼集落は、白馬村北東部に位置する山村集落です。

江戸時代後期から明治時代にかけて建築された茅葺き屋根(鉄板被覆)の家屋や土蔵が軒を連ね、今も住民が生活を営みながら、歴史ある風景を残しています。

2000年(平成12年)に、家屋や土蔵、青鬼神社や石仏群といった史跡、山林、堰(用水路)、棚田を含む59.7haが、文化庁の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されました。

 

棚田からの景観

青鬼の棚田は、東側を物見山、八方山、北側を岩戸山に囲まれた標高760mの山腹にあり、開けた南西方向には北アルプス鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳が対峙し、棚田の中腹に設けた展望エリアからは、棚田の四季のうつろいとともに素晴らしい景色を一望できます。

この美しい景観を重要伝統的建造物群等の伝統文化とともに保存・継承していることから、1999年(平成11年)に農林水産省の「日本の棚田百選」に認定され、2022年(令和4年)には、農林水産省の「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~」にも認定されました。

棚田の春
棚田の夏
棚田の秋

 

棚田の水源「青鬼堰」

棚田の保全に欠かせない貴重な水源として、用水路「青鬼堰」を青鬼集落の住民が日々手入れをしながら利用しています。“せぎ”と呼ばれ、毎年4月29日には、冬の間堰に堆積した泥や砂、枝葉などを取り除く堰普請が住民とボランティアの手によって行われています。

江戸時代後期、住民によって計画された新田開発とともに堰の開発も進められました。
集落の水源は生活に使う程度の湧き水しかなく、集落南側の標高の低い場所には青鬼沢という沢が流れていますが、取水が難しいため、山中にある青鬼沢の上流から山を横切って堰を引くことになりました。

この堰(上堰)は、総延長3kmの山腹水路で、当初は住民によって自力で開削することを計画しましたが、山中は峻急な斜面で硬い岩がいくつもある場所でした。松本藩の金銭的支援を受けて職人を呼び寄せ、岩盤をノミで削るという気の遠くなるような工事が行われました。

 

棚田から生まれた特産品

村の特産品開発の試みとして、村花 カタクリの花の紫色にちなみ、平成3年より古代米 紫米の栽培が進められました。他の品種と交配するのを防ぐため、山に囲まれ地形的に独立した青鬼の棚田が栽培地として選ばれました。

もち米の一種である古代米原種の「南京香稲(なんきんこうとう)」と、古代米を品種改良した「朝紫」という2品種が栽培され、白米やもち米に少量入れて一緒に炊くと、全体がほんのりとキレイな紫色に炊き上がります。

紫米は白米より栄養価が高く、食物繊維やミネラル、特にポリフェノールの一種であるアントシアニンが豊富に含まれ、強い抗酸化作用があり、老化防止や発ガン抑制に効果があるといわれています。
コロナ禍による健康志向の高まりから、健康食品としても注目を集めています。

道の駅 白馬では紫米や紫米を加工したお土産に加え、併設するレストランで出されるご飯は紫米が使用されています。また、村内のコンビニ、銀座NAGANOでも購入可能です。

赤米を使用したおにぎり
道の駅白馬

 

青鬼神社

集落内にある806年に創建された青鬼神社には、御神体として善鬼大明神(お善鬼様)が祀られています。
青鬼神社で年に数回開催される祭事には、集落を離れた若い世代も集まり、賑やかさを取り戻します。特に、毎年9月20日に行われるコウゾの木の棒をヒノキの板に立てて回転させ火を起こす「火鑚り(火揉み)の神事」は、白馬村の無形文化財に指定されています。
※以前は青鬼神社で行われていましたが、現在は一般開放されている施設「お善鬼の館」で実施されています。

善鬼大明神(お善鬼様)の伝説

昔話を想起させる特徴的な地名のとおり、青鬼集落には「お善鬼様」と呼ばれる、鬼に関する伝説がいくつか残されています。
その一つにこのような話があります。
岩戸山をはさんだ隣村、鬼無里村に鬼のような大男がやってきて悪事を働いたため、村人たちは岩戸山の底なし穴に閉じ込めました。その後、青鬼村(青鬼集落)にも鬼のような大男が現れましたが、村人を助け、喜ばれました。
閉じ込めた穴が青鬼村まで通じていて、通り抜ける際に改心したのだろうとして、この鬼のような大男をお善鬼様として崇めるようになったそうです。
※戸隠村の穴に鬼を閉じ込めた、戸隠村に良い鬼が現れた…等、諸説あります。

鬼は神社に祀られるとともに、家々の冬の囲炉裏端で伝説が語り継がれ、人々の暮らしに身近な存在になっていきました。

----お願い----
住民が日常の生活を送る小さな集落です。
青鬼棚田を見学の際は、住民の生活に支障をきたすことのないよう、見学マナーにご留意ください。
特に民家や田んぼのあぜ道に侵入したり、ごみを散らかすことのないよう、ご理解ご協力をお願いします。

駐車場は集落入口の駐車場所を、トイレは「お善鬼の館」をご利用ください。

詳細情報

アクセスマップ

保全団体

青鬼集落協定
住所長野県北安曇郡白馬村北城7025番地(白馬村役場)
電話番号0261-85-0766(白馬村役場農政課)