千代地区は、天竜川の東側、飯田市竜東地区の山間部に位置し、面積の大半を森林が占める中山間地域です。豊かな緑と自然に恵まれ、美しい景観も特徴の一つです。
よこね田んぼの概要
所在地 千代芋平・野池地籍
棚田面積 約3.0ha
棚田枚数 約110枚
平均勾配 1/4.3
水源 河川、天水、ため池
法面構造 土羽
開発起源 近世(戦国~江戸時代)
よこね田んぼの特徴
山間地の地形にあわせ、整えられた一枚一枚の田んぼは、先人の知恵と苦労の跡を今に伝える文化遺産です。そのため、よこね田んぼの体験活動は、文化や伝統を大切にという思いから昔ながらの手作業で行っています。
体験事業は、地元の保育園や小・中学校をはじめ、企業の新人研修や都会からの体験修学旅行の場として活用され、棚田の自然や文化に触れています。
また、保全活動は、保全委員会のほか、地区外ボランティアで組織する「よこね田んぼ守り隊」も一緒に行っており、地域全体で棚田を守っています。
保全委員会ができるまで
昭和50年代以前は、「上から見下ろし田数を数えると一枚足りない。もう一度数えようとひのき笠を手に取れば、その下から一枚の田んぼが出てきた。」という逸話が残るほど、まさしく「千枚田」の棚田でした。
その昔ながらの棚田は、景観として美しく印象的である反面、耕作機械が入りにくいというデメリットがあります。平成に入った頃から高齢化や後継者不足など水田を維持すること自体が難しくなり、全体の約4割が休耕田となりました。
この状況に危機感を感じた当時の千代地区自治協議会と千代地区環境保全推進協議会は、棚田を千代地区の財産と位置づけ、文化的遺産を後世に受け継いでいく方法を検討するため、平成9年7月に「よこね田んぼ対策委員会」を、平成10年2月に「よこね田んぼ保全委員会」を発足しました。
感動を共感できる場所を目指して
よこね田んぼの保全活動は、単に景観保全にとどまりません。
棚田は人と自然が共生し、昔から代々守られてきた伝統や文化、経験と知恵の宝庫です。地区内外を問わず保全活動に参加する大人から子ども達が、この原風景の残るよこね田んぼで、共に汗を流し、泥にまみれながら交流を深め、伝統や文化に触れています。
この保全活動を通じて、親しみ・語り合い・喜びを分かち合うといった「感動を共感できる場所」を目指して活動の輪を広げていきます。
今後も拓かれた地域社会と四季折々に見せる美しい景観を守るため、様々な地域・年代の人たちとの関わりの中で、よこね田んぼを千代の文化遺産として、将来を担う子ども達へつないでいけるよう一体となり活動をしていきます。