こんにちは! KS48です。
令和7年11月1日、2日と、大分県別府市にて、第30回全国棚田(千枚田)サミット(以下、棚田サミット)が盛大に開催され、参加することが出来ましたので、その模様をお伝えします!
記念すべき第30回目の主催地である別府市は、温泉で有名ですが、農林水産省が認定する「つなぐ棚田遺産」に認定された棚田が1市町村内で5地区も存在する実は凄い土地でもあります。
(ちなみに長野県は15箇所が認定され、全国3番目です)
「内成棚田」、「東山の棚田群」、「天間棚田」、「大所棚田」、「堂面棚田」の5地区で、その総面積は126.8haにもなります。
それぞれの棚田では、小学生の田植え体験やオーナー制度、農業体験などを企画し、棚田の存続・継承を図るための取組が行われております。
別府駅を降りると、早速サミットの雰囲気を盛り上げるものが!

駅前に鎮座する「ぴかぴかのおじさん」像(油屋熊八翁)も、農業従事者の格好でお出迎え!
棚田サミットへの力の入れ具合が伺えます。
周辺でも、スマホなどで撮影している人が多く、PRに一役買っておりました。
棚田サミットの会場は、別府国際コンベンションセンター(ビーコンプラザ)です。
会場に向かうルートにも、各棚田ののぼり旗が立てられ、会場へ向かう参加者の期待感を盛り上げます!

会場前の広場では、各棚田のブースが設けられ、棚田米の販売や、試食などのPRが行われておりました。午後イチまでに米は完売、試食してみましたが、粒が大きくて美味しかったです!
オープニングセレモニーや開会式の後は、「内成棚田」にて保全活動を実施されている後藤利夫氏より、事例発表がありました。
後藤氏は、ご自身でも4反(4,000㎡)の水田を一人で耕作されています。4反といえども、その枚数は22枚にもなるという事で、棚田での作業の大変さが想像出来ます。
事例発表という事で、内成棚田で実施された取組について、成功・失敗事例を交えた発表がありました。やはり、第一の課題は後継者不足という事で、これを解決するための取組が求められております。
続いてのシンポジウムでは、「第30回記念」として、棚田サミットが企画された背景や、第1回から前回までの29地域に上る開催時の所感について、コーディネーターである中島峰広氏から講演がありました。
ユーモアを交えた軽妙な語り口は、御年91歳とは思えないほどのものでした。
中島氏は棚田サミット立ち上げから今日に至るまで30年以上も関わり続けている人物であり、非常に貴重なお話を伺うことが出来ました。
昼食時、会場の隣に足を運ぶと、『湯のまち棚田マルシェ』が盛大に開催されておりました。
地元の食材を活かした様々な出店のほか、棚田米によるモチ投げ、地元高校生による圧巻の書道パフォーマンスが披露されるなど、非常に盛り上がりをみせておりました。

午後は4箇所の会場に分かれての分科会です。
〇棚田ツーリズムによる観光資源として棚田を活用することで、地域に人を呼び込む仕組みの議論
〇棚田を中心とした別府の景観史を読み解く試み
〇棚田発の商品・特産品を生み出すビジネスデザインの検討
〇スマート農業の活用で管理の省力化を実現し、担い手が不足する中でも持続可能な取り組みを続けるための実証実験結果の共有など、
『棚田存続』のための様々な考え方、試みがテーマごとに議論されました。
参加申し込み時に、最も興味のある議題を選んで申し込むため、参加者にとって非常に意義のある時間になったと思われます。
自分は、スマート農業を用いた省力化への試みとして、様々な自動化・遠隔化の取組について話を伺い、業務でも生かせそうなヒントをもらうことが出来ました!
翌日の閉会式では、第30回全国棚田(千枚田)サミットの共同宣言が採択されました。
宣言書の読上げを担うのは、千葉県出身で別府市の内成棚田の魅力に魅せられ、移住した女性でした。
途中、感極まり、涙で言葉が詰まる場面もありましたが、観客席からの応援にも支えられ、無事共同宣言を採択することが出来ました。
後継者不足に悩まされる各地の棚田ですが、この様に人を虜にする魅力を秘めているのだと、この魅力を広く理解してもらえれば、その未来も暗い事ばかりではないのでは、と思わせてくれるものでした。
式の締めには、来年の開催地である静岡県浜松市の皆さんが壇上に上がります。

なんと、浜松市長である中野祐介氏を始め、総勢20名が来年度のPRのために来場しておりました!
浜松市は、「つなぐ棚田遺産」認定の棚田を3つ擁(よう)する自治体です。
自分は、開場前に久留女木棚田の方々からお話を聞くことが出来たのですが、地元の静岡文化芸術大学の学生が、3枚の水田を復田し、10年にわたり活動を継続しているとのことです。
田植えや稲刈りなどのほか、日常的な管理も土日を使って自分たちで実施、卒業生も活動を継続するなど、お話をしてくれた学生さん本人も胸を張って堂々とお話をしてくれたのが印象的でした。
「来年、必ず伺います!」と思わず言ってしまいましたが、叶いますでしょうか!??
午後の現地見学(エクスカーション)は、残念ながら日程の都合で参加出来なかったのですが、ここまで色々な話を聞いた後だと、参加出来ないことが非常に悔やまれました・・!
棚田サミットの模様は、NHKをはじめ、新聞やネットニュースなどでも報道がありました。
報道によると、全国から1000名を超える参加があったとのことです。
ちなみに、昨年の棚田サミットは長野県上田市の「稲倉の棚田」を舞台にして実施されたのですが、自分は裏方として、部分的な参加のみでした。
実際にひととおり参加してみると、棚田保全活動に携わる方々のお顔や声、熱気を直に感じることができ、自分の中にも「やらねば!」という気持ちが沸き起こるのを感じました。
会場でお会いした稲倉の棚田の方々からも、「補助金を出して終わりではなく、実際に関わりあって欲しい」という言葉を頂きました。
保全活動の大変さや、棚田が持つ魅力(空気感・景観)などは、現地で実際に活動に携わらないと理解することは難しいのかも知れません。
様々な業務に追われる日々であり、多くの事は出来ないかもしれませんが、この経験を無駄にしない様、関係者の方々のお手伝いが出来ればと思います。