八重堀(やえぼり)の棚田の概要
棚田面積 約3ha
棚田枚数 約21枚
平均勾配 不明
水源 湧水
法面構造 土羽と一部石積みの複合
開発起源 江戸時代
地域の概要
長野駅から車で約1時間、長野市南西部にある大岡地区は、北アルプス連峰を眺められる「大岡アルプス展望公園」や、無病息災と豊作を祈り、毎年地域の方々の手で作られる「芦ノ尻道祖神」など、農山村の伝統文化が残る、自然豊かな地域です。
大岡地区は、標高1,447mの聖山から大町市との境に流れる犀川にかけて、標高差1,000mの扇状に傾斜する地形をしています。
その地形ゆえ、山あいに拓かれた集落の田や畑の多くが、不整形かつ傾斜地にあり、棚田の形状をしています。
・
NPO法人との連携
八重堀の棚田を保全するのは、千曲市を拠点とするNPO法人元気お届け隊です。
平成20年に、のちに元気お届け隊の副理事長となる丸山さんが、都市部から祖父母が住んでいた八重堀集落に移住し、祖父母の棚田や高齢により管理が難しくなった近隣の棚田を引き継ぎました。
棚田を保全するにあたり、自然豊かな大岡地区を都市住民にも広めたいと考えていた丸山さんと、千曲市で子ども食堂や地域活性化に取り組む元気お届け隊の長浦理事長がSNSで意気投合し、平成25年から共に活動することになりました。
棚田保全活動
NPO法人元気お届け隊は、主に田舎暮らし体験の受け入れを行っています。
棚田オーナー制や、田植え・稲刈り体験会等を含む農家民泊、無農薬栽培の勉強会のほか、修学旅行等の農業体験学習を伴う農家民泊の受け入れ先にもなっており、小・中・高校生に稲作の楽しさを伝えています。
また、食を楽しみながら大岡の良さを知ってもらうことを目的に、東京にある長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」で、定期的に無農薬の棚田米のごはんと日本酒を味わう食事交流会を開催し、好評を得ています。
・
棚田からの景観
棚田からは、日本百名山の鹿島槍ヶ岳や五竜岳をはじめとする北アルプスの山並みが一望できます。
時間や季節、風の流れによって姿を変えていく絵画のような景色を眺めながら、田植えや稲刈りなどの農業体験が楽しめます。
・
水源
八重堀集落に湧く純粋な湧き水を棚田に引いています。
この湧き水は、聖山(ひじりやま)山麓にある、樋知(ひじり)大神社(本宮・郷宮)が水源とされています。
樋知大神社境内には、今も雨乞いの儀式が伝わるお種池やブナ林、湿原があり、お種池からこんこんと湧き出る水は、周辺地域の飲用水や農業用水にも用いられ、人々の生活を支えています。
・
棚田から生まれた生産品
NPO法人元気お届け隊が力を入れて管理している八重堀の棚田は、現在農薬を一切使用せず耕作を続けています。
長野市信州新町地区にある株式会社尾澤酒造場では、棚田で栽培された酒米を使用し、日本酒「十九」を醸造しています。
「酒造りは米作りから」の考えのもと、株式会社尾澤酒造場の専務や社員自ら田植えや稲刈り、草取りに参加し、汗を流します。
・
アクセス
長野駅から車で約1時間、県道395号線から「八重堀」の看板を目印に集落側の道に入ります。
道幅が狭いため、通行に十分ご注意ください。
なお、駐車場はございませんので、住民の通行や農作業等の妨げにならないよう、短時間の見学に留めていただきますよう、ご協力をお願いします。